2022.04.24 Sun

4月1日、人々が入社するタイミングで6年間勤めた会社を辞めた。辞める決断をするには早すぎるような気もするし、状態としてベストのような気もする。良い職場だったので辞めて良かったかはわからないが、良かったかどうかは思い返したときの状態で決まるものだろうから、選択について考えることはすぐに止めた。

色々考えることは止めて、観ようと思っていたものを観る日々を少し送った。5月に公開される『ドクター・ストレンジ』の予習としてDisney +で『X-MEN』シリーズ、『私ときどきレッサーパンダ』、始まったばかりの『ムーンナイト』、『ハミルトン』、Netlifxで『アトランタ』のシーズン1と2、『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』、『ザ・ファイブ・ブラッズ』、『アーケイン ARCANE』、劇場で『アネット』と『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を観た。サブスクリプションのサービスは被って入りたくなかったのに、結局上記2つに加えてAmazon Primeも契約している。少なくとも月に2、3本観れば元は取れる、ということで自分の中で理由をつけた。

それから「十三機兵防衛圏」のSwitch版をプレイした。31時間でストーリーエンドまで到着。めちゃくちゃ面白かった。登場人物とイベントが非常に多く、時系列で状況が判明していくわけではないため始めはかなり混乱した。しかしチュートリアルがしっかりしているのと今の進捗もわかりやすいのでわからなくても進めていける。あと、ドラマパートである追想編と、バトルパートである崩壊編のバランスも良く、気付けばかなり夢中になってプレイしていた。あと何よりキャラクターも良い!みんな好きになってしまった!!という完全に心が捉えられて楽しい31時間だった。まだ残っている部分はじっくり味わおう。ヤンキーキャラ好きとして由貴ちゃんと緒方はよかった。あとはまあ比治山ですかね…焼きそばパン…。

そんな風にのんびり過ごしていたが、それでも結局「これでよかったのかなあ」などと考える。そうしているうちに出勤の日がやってきた。2年間フルリモートをしていて、その期間でオフィスに行った回数は10回も満たない。リモートになってからは仕事量が増えてツラかった時もあったが、睡眠時間が削られることはなく生活してきたし、何なら過去数年間で一番睡眠時間が長かったのではなかろうか。次の仕事は「リモートでも働いている人はいるしフレックスだけど、基本的にみんな出ている」と聞いたので出社するつもりだった。というか転職するなら出社している人がいるところがいいなと考えていたのでありがたかったけれど、朝起きられるのかがとにかく心配だった。出勤初日の朝は、携帯のアラーム4つだけでは半寝の状態で朝に全て止めてしまうだろうと思ったので、アレクサと、ウェアラブルの腕時計と、合計で10回分のアラームを設定した。パラノイア状態だ。無事に起きられて良かったものの、心配事のレベルが低すぎてそれはそれで自分を心配した。

そう、すごく自分を心配している。仕事を変えようと思ったのは、今の場所で自分でできることが増えたと感じてしまった傲慢さが要因の一つしてある。だから「早すぎる」と「ベストだ」が同居している状態なのだ。しかし新しい環境ですぐに自信を持って仕事を進められるようになるなんてのはもちろんなく、「やっぱりできなかった」に直面することになるだろうと、悪い想像をしてその時の状態のイメトレを何度も何度もやってしまう。そうなっても続けて頑張るしかないのだが、一応、念のため。なんとか頑張って自分のやれることを増やしたい。やりたいことはないけれど、なりたいイメージが私は強くあるようなので、それに向かってできる限りのことはやってみよう。

2018.12.09 Sun

年の瀬にかかってきた。今年は新しく始めたことがいくつもあって、下半期の活動量は多い。その分映画を観る時間は減ったけれど(というか、家で観るのに疲れて、劇場で観る時間が減った)、別のことをしているので今は十分。

6月から、もともとお手伝いしていた映画祭の海外渉外担当を始めた。映画祭事業独特の交渉時のコミュニケーションやルールを体得するのに時間がかかったけれど、半年ぐらいたった今、ある程度は対応できるようになってきた。
また、5月〜7月まで、その映画祭の上映作品を決める審査員もやらせてもらった。そこで大体、100時間分の映画を観ている。この2ヶ月は、平日に仕事して夜に2時間ずつ観て、土日に8時間ずつ観る、というスタイルで生活していた。途中で上記の海外交渉も始まったので、目が回るような日々。周りの人に助けられて何とかなった。

同じく6月ぐらいに、他の映画祭の運営メンバーとして参加し始めた。ぜひ一緒にやりませんか、どうですか、と言われた時、嬉しかった。図らずとも、上の映画祭とこの別の映画祭のお誘いが、イランにいる時、同時にやってきた。
上の映画祭とは業務委託の契約をしているが、こっちの映画祭は金銭的な報酬はない。趣味と言われたらそりゃ趣味だが、何も金銭的報酬が発生しなければ仕事にならないというわけではないと思う。

そんな風に趣味と仕事がごちゃごちゃになってきたのが今年。
働き方改革だの副業制度だの色々と言われる中で、「働く(レイバー)」という考えが壊れちゃえばいいのに、と思う。「働く」がなくなってしまえば、働き方改革だって副業だって言葉として成り立たなくなる。その代わり残るのは「活動(アクティビティ)」。活動には金銭的な報酬もあれば(それで人々は生計を立てる)、精神的な報酬(信頼を得る、経験を得る、知識を得るといったもの)がある。欲しい報酬によってそれぞれの活動へコミットする量を決めたらいい。雇用制度がなくなって全員フリーランスになったらどうだろうか?
なんてことをぼんやり考える。そんなこと、うまくいかないとは知っている。人は何らかの活動をしていくのだから、活動すべてが楽しく感じた方がきっといいだろうと思う。少なくとも私は。

そんな活動量を増やして生活していたら、1年半ぐらい定期的に通っている近所のバーへの訪問回数が増えた。疲れていたり、煮詰まっていたり、何かを終わらせられたり、気分転換をしたくなることが増えたからだ。そうなると、お酒でも飲もうかな、なんて思ってその店へ行く。そもそも私は家では全く飲まないので、お酒を飲むときは外になるし、外で飲むくらいなら美味しいものが飲みたいと思う。そして飲み始め、ひとりで飲んだり、常連客たちとおしゃべりしたりしているうちに、気付くと朝になっている。
11月からそこでアルバイトをしている。「前のアルバイトの子が辞めることになっちゃったんだけど、どう?」とひとりで飲んでいるときにマスターに誘われ、冗談だろうと思い簡単に「やるよ〜」と答えたら、本当にやることになってしまった。飲食店での接客業はまたやりたかったから、全然嬉しいお誘いだったけれど。
週末、ピークタイムの10時から2時の4時間だけ立って、マスターのお手伝い。来店する客のほとんどが常連客なので全然気兼ねせずに働けるし、新しいお客さんと話すのも楽しいし、サービングも久しぶりだから楽しい。食べ物の名前はホテルのレストランで働いているときに結構覚えたけれど、お酒については知らないことが多いから面白い。銘柄を覚えることが好きだ。お客さんからお酒をいただいたり、シフトが終わってまかない酒(角ハイ)をいただいて帰ると大体4時ぐらいになっている。

何でこんなことになったんだろうと考える。まず、誘われると断らない。誘われるのは嬉しいので、本当ですか、やります、と二つ返事で答える。やることによって生活がどうなるとか、いつやめるのかとか、どこに影響がでるかとか、全然考えない。やれる状況か、はちょっぴり考えるけど、状況は作り出してしまえば問題ないので、やっぱり考えていないと思う。
もうひとつは、楽しくなりたいからだ。生きてて楽しく感じたい。色々な別のことをやっていれば楽しくなることも増えるかなと思い、つい全てやりたくなってしまう。今メインではこの4つ(本業であるシステムの営業、映画祭の海外担当、映画祭の運営メンバー、バーのお手伝い)でやっているけれど、でもやりたいことはまだまだいっぱいある。と、思う。
あとは、強欲であるから、も、理由の一つかもしれない。

映画は観ていないけど、本を読む量は増えた。今年は水村美苗と多和田葉子という素晴らしいふたりの作家に出会えたのが大きい。

そんなこんなで、とても楽しい日々を送っています。

2016.07.05

入社して、3か月が経った。3か月間は研修期間で、人事部が組んだ色々なカリキュラムを行った。どれもゴールが明確で、順序立ててできており、充実した内容だったのではないかと思う。
最初の合宿で同期を知り、各部署への体験入部で社員を知り、営業研修で社外を知る。
3か月間、楽しく過ごした。大学では映画を勉強して、映画なんて全く関係のない会社へ入ったけれど、でも大学の勉強が無駄だと思ったことは今の所一度もない。ちなみに映画と映画学の知識は役に立っている、と思う(社内で「映画の人」という印象をつけるのに)。

3か月の研修期間を終えて、配属された。志望した通り、営業部へ。
営業へ行きたい理由はいくつかあって、一番大きいのは「外へ出るのが好きだから」だった。配属面談でも人事部の方に、実際そう伝えた。私は社内でずっと仕事しているのはとてもじゃないけどできる人間ではない。眠くなっちゃう。あと、「人間に興味がある」というのも理由としてあった。

世の中には、ものを作る側と、ものを売る側の、2つしかないんじゃないか、と考えている。私は売る側になった。作る側にはこれからもいかないと思う。

3か月経ったら、やっぱり、頭が切り替わってきた。意識せずとも会社関連のことを考えてしまう様になった。朝から晩まで、週に5回行っているのだから当然だろう。別にそのことに関して、そこまで抵抗はない。
でも映画とは関わり続けたくて、前より積極的に「映画が好きです」ということを人に伝えるようにしている。そうでもしないと、そうじゃないような気がしてくる。でも元から映画なんて見なくても大丈夫ではあった。映画とは、今までもそうだったけどこの先も、好きなのかそんなに好きじゃないのかわからずに付き合っていきそうだ。それでもなぜか固執してしまう。なぜなんだろう。

そんな私にとってもキアロスタミの死は大きい。彼の死を思い出すと、思わず心が揺れて、すごく悲しくなる。好きなキアロスタミの映画の好きなシーンを思い浮かべるだけで、結構つらい。つらすぎて映画を見ようという気になれない。本当に本当にかなしい。