2024.03.01 Fri

先週末やられていた腰の痛みはだいぶ良くなってきて、言い訳に運動をしないことがもうできない。残念だ。運動せねば。

しかし今週はすぐに家に帰りたい週だった。『ハズビン・ホテル』のサントラはいまだにずっとリピートしているが、ふと『Mr. & Mrs. スミス』がAmazon Primeで配信開始されたこと思い出し見たら案の定面白くて、早く帰って続きを見たいという気持ちになり、仕事が終わったらスーパーにも映画館にも寄らずに家に帰る日々だった。今、全八話中の五話目。

いやー、面白い。2005年のアンジェリーナ・ジョリーとブラピが主演していた同名作品のリブートかと思っていたが、実際は、2005年の作品と、1995年にやっていた同名のTVシリーズが元ネタになっているだけだった。シークレットエージェントという職業に就いている夫婦、というところをゆるーく下地にしているぐらいで、あとはオリジナル。全体的にスパイジャンル(というかほとんどが007)の設定や撮り方、もはやクリシェとなった描写でを再現しておちゃらけつつ、内容は至って真面目なロマンスだった。最近またロマンスジャンル見たくなっていたのでちょうどよかった。結婚自体がエージェントとして言い渡されたミッションのひとつで、そしてそれを一般的な他人との共同生活、いわゆる結婚生活というミッションに置き換えている。性格の違うふたりが歩み寄り、妥協し、思い遣る姿を見ていると癒される。割と『きのう何食べた?』と近い癒しを得ている感覚がある。ふたりのくだらない会話を聞いているのも非常に愉快。キャリア志向のジェーン(マヤ・アースキン)とファミリー志向のジョン(ドナルド・グローヴァー)の衝突も人間味があっていい。あと、2/3は見たと思うんだけど、ミッションのターゲットにされるのが白人で、高確率で死んでる(もしくはかなり酷い目に遭うか、歪んだ人格を持っている)のだけど気のせいだろうか。『アトランタ』でも脚本を書いてショーランナーをやっていたフランチェスカ・スローン氏がメインショーランナーであったり、やはり『アトランタ』でも主演と製作をしていたドナルド・グローヴァーも製作に入っていたりと考えると、然もありなん、という感じがする。元々白人ロマコメアクション映画だった同名作品に引っ張られて見る人がいるだろうから、あんまり良い正当な評価を得られなさそうな作品な気がした。高級インテリアやファッションも非常に良いし、スパイ要素を取ってしまえば普通の新婚カップルの話であるものの、全体的に暗い雰囲気も強くて、その辺りはスパイジャンル要素を上手く入れているなと思った。あとサントラがめちゃくちゃ良い。残り三話どうなるのか。白人以外のターゲットも出てくるのだろうか。楽しみだ。

そういえば今年で安部公房生誕100周年らしい。早速発売日に芸術新潮2024年3月号の「わたしたちには安部公房が必要だ」を買ってきた。その中で写真集の発売や、神奈川県立近代文学館での企画展、そして石井岳龍による映画『箱男』の情報など今後のイベント情報が記載されていて楽しみになった。

実家の本棚に、ほぼ全ての安部公房作品の文庫本が置いてあった。文庫本のみならず、化粧箱入りの「箱男」「密会」「砂の女」だの(しかも初版)、題名からして恐怖を感じるセクションがあり、怖いもの見たさの好奇心で読み始めた。中高の私にとって安部公房はSFというより本の存在がホラーで、内容は分からずに、恐怖に追い立てられる感覚だけで読み続けていたと思う。前の年には青い鳥文庫のはやみねかおるによる夢水清志郎シリーズを読んでいたのに、美化されていないエロティシズムや急な暴力、不条理な物語を読むことが思春期の少女にとって背徳行為のようで、抜け出せなくなってしまった。ちなみに毎回徹夜して読んでいたのだが、それは途中で止めて寝たら悪夢を見そうな気がしていたからだ。それでも結局夢に出る。骨が溶けたり、壁に飲まれたり、植物になったり、実際経験したこよりも色濃いはっきりとしたイメージで夢に出ていた。おかげで当時は狸とかいわれ大根が怖かった。もう夢にも見ないし、狸も怖くないし、かいわれ大根も食べられる。ずっと欲しいと思っていた安部公房全集、これから毎月一冊ずつ買っていこうかなあ。全30巻、集めるのに2年半かかる上、そのボリュームの本たちがアパートのワンルームにあったらすごい圧迫感だろうな。まず、どこに置くんだそんな本。いやまあ、全然置けなくはないけれど…。それからこの調子で、勅使河原宏が手がけた作品のDVD-BOXも、前回購入できなかったから再販して欲しい、です!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください